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2020 年度 実施状況報告書

非協力交渉ゲーム理論による価格・競争・情報戦略の研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K01525
研究機関甲南大学

研究代表者

宮川 敏治  甲南大学, 経済学部, 教授 (30313919)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワードhousing markets / interdependent values / labor union / wage bargaining / union formation / incomplete information / outside options
研究実績の概要

家(学生寮)配分問題で各人が所有する財(家)の質についての私的情報が存在するときには初期保有より好ましい財が与えられ、かつ、事後的に真の選好と財の質の情報を正直に表明する配分ルールは、初期配分そのままを常に与えるものしか存在しないことを示した論文Ex-post incentive compatible and individually rational assignments in housing markets with interdependent values(藤中裕二氏との共同研究)をJournal of Mathematical Economicsに発表した。貨幣の移転を考慮していないため財の売買市場の考察の前段階に位置づけられるものであるが、財の質に関する不完備情報と財の配分ルールの研究として本研究課題と関連をもつ。現在、貨幣の移転も考慮したモデルを継続して研究している。
財の売買市場の交渉の特殊ケースと位置づけられる労働市場の賃金交渉問題を非協力提携形成交渉ゲーム理論を用いて考察した論文Do workers negotiate collectively or separately? (清滝ふみ氏との共同研究)をThe unified or separate wage bargaining of multiple unions without commitments of forming coalitionsとして大幅に改訂した。この研究は完備情報下での交渉ゲーム理論による売買市場の研究と位置づけられる。
当初予定していた不完備情報での財の売買交渉の研究が停滞しているため、問題を整理するために買い手の外部機会(outside options)に注目した関連研究のサーベイ論文を現在準備中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

既にある程度の結果を得られている「完備情報での財の売買市場での売り手独占を考察した研究」を論文のかたちにすることが出来なかった。本研究課題に付随して実施することになった共同研究の改訂作業に時間を割かれてしまったためであるが、本研究課題の本質的な進捗という意味では遅れを生じさせてしまっている。
また、不完備情報での財の売買市場の交渉ゲーム理論の研究の本格的な始動が出来ていない。この原因として、(1)自身の大学の移籍、それに伴う新しい授業科目の担当、加えて、コロナ禍でのオンライン授業の準備などに多くの時間が取られてしまって、研究にあてるエフォート率が減ってしまったこと、さらには、(2)大学がコロナ禍で、原則、海外出張を禁止しているために予定していた海外出張がまったくできなくなってしまい、海外の研究者とディスカッションする機会が失われてしまったこと、が挙げられる。新型ウィルス感染症にまつわる特殊事情があったとはいえ、不完備情報下での売買交渉ゲームのモデルの構築ができていないことは、本研究課題の進捗の遅れを示していると考えている。

今後の研究の推進方策

まず、清滝ふみ氏との共同研究(労働市場の賃金交渉の研究、企業提携と協力投資の研究)の論文改訂を行い、海外の査読付きの専門雑誌への投稿までできるだけ迅速に行う。次に、Theory of monopoly in bargainingを論文のかたちにして、Discussion paper、または、Working paperとして発表する。
不完備情報での財の売買市場の交渉ゲーム理論については、既存研究をサーベイし、その内容を解説した研究資料を甲南大学の紀要に発表し、問題点の整理を行いたい。その上で、当初予定していた論文のアイディアを検証する作業に入りたい。ある程度かたちになれば、現在のようなコロナ禍においても(たとえ海外出張ができない状況であっても)オンラインで議論する機会を得ることができると考えている。
当初予定していた海外出張の代わりに、論文の英文校正や論文投稿、オンラインで議論を行うためのPC関連機器への支出、に向けることも検討してみたい。

次年度使用額が生じた理由

世界的な新型コロナウィルス感染症の感染拡大により、勤務している大学より海外出張および感染拡大地域への出張を禁止する指示があり、当初予定していた海外出張ができなかったため。世界的に感染が収束し、海外出張が可能になり次第、当初予定していた海外出張を計画する予定である。また、海外出張ができない期間が長引く場合は、論文の英文校正や学術雑誌への投稿料に支出を向けたいと考えている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Ex-post incentive compatible and individually rational assignments in housing markets with interdependent values2020

    • 著者名/発表者名
      Yuji Fujinaka, Toshiji Miyakawa
    • 雑誌名

      Journal of Mathematical Economics

      巻: 91 ページ: 157,164

    • DOI

      10.1016/j.jmateco.2020.09.002

    • 査読あり

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公開日: 2021-12-27  

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