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2022 年度 実績報告書

L.ロビンズの選択理論とアノマリーを巡る20世紀初頭の経済学の再考

研究課題

研究課題/領域番号 18K01532
研究機関尚美学園大学

研究代表者

田中 啓太  尚美学園大学, 総合政策学部, 准教授(移行) (50648095)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード経済学史 / 経済学方法論 / L.ロビンズ / P. H. ウィックスティード / 経済人の仮定 / 限定合理性
研究実績の概要

本年度は特にL.ロビンズとP. H. ウィックスティードの経済学方法論を比較検討し、その内容の一部である機会費用概念の類型について研究部会で報告した。機会費用概念の展開は、初期オーストリア学派の主観主義から始まりLSEでの主観的な選択理論の展開を経てアメリカ・シカゴ学派へ流れていく系譜についてはブキャナン等の指摘がある。これに対して本研究は、ウィックスティードが主観主義と両立する客観的な機会費用概念の存在を指摘し、主観主義に終始するロビンズとの方法上の相違点を明らかにした。
本研究期間の全体では以下の成果がみられた。まず本研究は限界革命を担ったW. S. ジェヴォンズから始まり、 A. マーシャル、ウィックスティード、ロビンズへ至る選択理論としてのイギリス経済学史の流れについて、近代の選択の合理性の枠組みを超える観点が存在したことを指摘した。これによってロビンズの選択行為の類型を、合理的経済人の形式で示される完全な合理性だけではなく目的選択おいて矛盾を含むような限定的な合理性をも考慮する形で、より多様な人間行動を経済学の研究対象に定めようとするものとして位置付けることができた。この意味でロビンズの経済学方法論の射程の広さが、それまでの選択理論としての経済学の系譜にも見られることを指摘した。
さらにロビンズが経済学の稀少性定義として知られる個人行動のモデルを2種類の仮定から導いていることを明らかにした。本研究ではロビンズの用いる仮定を、ロビンズの稀少性定義が含意する主要な仮定と、経済分析において第一次近似としての人間行動を分析する副次的な仮定とに区別した。この整理によってロビンズの方法論的な射程が、完全合理性を前提とする純粋経済学としての側面だけでなく、近代の行動経済学にみられる非合理的な行動の枠組みを含むものであることを明らかにした。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 19世紀末から20世紀初頭における機会費用論――アメリカとLSEでの受容と展開2022

    • 著者名/発表者名
      田中啓太・西本和見
    • 学会等名
      経済学史学会関西部会第181回例会

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公開日: 2023-12-25  

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