研究課題
基盤研究(C)
本研究は、研究期間全体を通じて、哲学(美学)、貧困観・労働者教育観、帝国(特にアイルランドとインド)観という3つのトピックを焦点として、バークの思想のケインズへの影響の詳細を明らかにしようと努めた。最終的に英語論文・日本語論文・国際会議での口頭発表のすべてにおいて、当初の期待以上の分量の研究成果を生みだすことができた。研究課題である「ケインズのバーク受容」それ自体に関しては、明確な結論を引き出すことはできなかったが、研究開始時よりは知見を大いに深めることができた。
経済学説および経済思想関連
本研究は、ケインズが規則主義者バークを低く評価し、便宜主義者バークを高く評価したことを、経済学方法論の次元にまで遡って明らかにした。また、経済が二次的な役割しか果たさないような世界の到来に関するケインズの希望がそこに反映されていることも明らかにした。さらに、バークの美学思想の経済思想史的意義、マルサスのバーク受容の特質と意義を明らかにするなど、「ケインズのバーク受容」についての考察を今後より深めていくための基礎資料も整備した。