研究実績の概要 |
1908年にロシア帝国議会へ提出された統計改革法案の作成過程において、万国統計会議における論議がどのように検討され法案へ反映されたかをロシア国立歴史公文書館史料の解読を通じて明らかにする作業を進めた。その研究成果として次の2つの論文を発表した。 ①(査読なし)「1908年ロシアの中央統計局構想」『九州国際大学国際・経済論集』4,21-52. 2019年8月。この論文では1908年に議会へ提出された法案が下院において採択されたものの1910年上院において否決された経緯を中心に検討した。 ②(査読あり)А.Ямагути. Проект реформы государственной статистики А.М. Золотарева в свете решений международных статистических конгрессов.ロシア連邦国家統計局学術誌『統計の諸問題』Вопросы статистики.т.26 №10,2019Стр.71-79.2019年10月。ロシア国内で発表した論文である。1908年統計改革法案作成過程において内務省中央統計委員会議長ゾロタリョフが果たした役割を中心に検討した。ゾロタリョフが万国統計会議フローレンス大会における論議を踏襲したこと、また1910年の法案否決に至る論議を検討し、地方統計組織に関する統計法案の不備があったことを明らかにした。この論文は20世紀初頭の公文書に依拠して当時の論議を掘り起こしたものであるが、特に政府統計機関の独立性と中立性に関する論議は今日のロシア政府統計機関の在り方に関する論議にも関連するものである。
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