研究課題/領域番号 |
18K01537
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研究機関 | 九州国際大学 |
研究代表者 |
山口 秋義 九州国際大学, 現代ビジネス学部, 教授 (80269026)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ロシア / 統計制度 |
研究実績の概要 |
この研究課題に取り組むうえで、ロシアサンクトペテルブルグ市のロシア国立歴史公文書館所蔵資料を閲覧することは不可欠である。しかし、2020年度はコロナ禍によりロシアへ出張し公文書館における資料調査を行うことができなかった。2019年度に現地において資料調査を行い複写作成を依頼していた公文書資料を2020年度に受け取り、これの解読作業を進めている。2020年度に現地において資料調査を行えなかったことが、当初の研究計画に基づいた研究の進捗に影響を与えており、2020年度中に論文を発表することができなかった。現在はこれまで収集した資料をもとに、2021年6月に投稿予定の「1913年ロシア統計改革について」を執筆中である。この論文では1913年に帝政ロシア下院へ提出された「内務省統計機関法案」の作成過程における論議を内務省統計評議会と閣僚会議における会議議事録を中心に検討している。これらの論議の中で特に中央統計機関の編成のあり方として集中型と分散型とをめぐる賛否両側からの論議に焦点を当てる。この法案に先立つ1908年に立法府へ提出された統計法案は1910年に上院において否決された。1908年統計法案から1913年法案へ継承された集中型統計制度について検討する。当時のロシア政府統計が抱えた課題を解決する糸口としてなぜ集中型が選択されたかを、万国統計会議における公的統計制度をめぐる論議との関係において明らかにする。1913年統計法案も立法府において承認されなかったが、その原因についてもあきらかにする。ロシアの統計改革はその後1916年に再び統計法案が作成され、これが革命後ソヴィエト政権による集中型統計制度の骨格を提示するものとなった。現在執筆中の論文において1913年統計法案がのちのソヴィエト政権下において採用される集中型統計制度としての中央統計局構想を準備したものとして位置づけることが、執筆中の論文の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
この研究課題に取り組むうえで、ロシアサンクトペテルブルグ市のロシア国立歴史公文書館所蔵資料を閲覧することは不可欠です。しかし、2020年度はコロナ禍によりロシアへ出張し公文書館における資料調査を行うことができませんでした。前年の2019年に現地において資料調査を行い、公文書館へ複写作成を依頼していた資料を2020年度に受け取りました。現在はこれの解読作業を進め、2021年6月に投稿予定の「1913年ロシア統計改革について」を執筆中です。
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今後の研究の推進方策 |
1913年ロシア統計改革案に関する論文を執筆後、1916年統計改革案に関する論文を準備する。1916年統計法案作成過程においてゼムストヴォと呼ばれた地方自治体の統計家による集中型統計組織を求める要望が影響していることが判明した。帝政末期においてゼムストヴォ統計家大会が開催されておりこの議事録がロシア国立歴史公文書館に保管されている。現在のコロナ禍にあって現地への出張が不可能であることがこの研究課題を進めるうえでの障害である。現地での資料収集が不可能である場合は研究論文等の二次資料をりようする。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究課題を進めるうえでロシアサンクトペテルブルグのロシア国立歴史公文書館所蔵の資料を閲覧することが不可欠です。しかし2020年度はコロナ禍にあって海外出張が不可能でした。多額の残高が生じ次年度へ持ち越す理由は以上のようにロシアへの出張ができなかったことです。
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