研究実績の概要 |
本研究の目的は,(1) ロシアの2011年ベンチマーク大規模産業連関表と2012-2015年延長表ならびに最近,公表された2016年ベンチマーク大規模産業連関表と2017-2018年延長表の画期性について詳細な検討を行い,同時に石油・ガス産業等や価格表示について補正を行った代替的な組換え産業連関表を初めて提示し,軍事産業の分析も行う,(2)新規産業連関表を126部門,98部門,59部門, 30部門,1部門レベルで利用し,ロシア国内産業構造を基本価格表示と生産者価格表示にわたり,詳細に分析する,(3)新規産業連関表を国際産業連関表の中に組み込み,グローバルサプライ・バリューチェーンの現状と発展可能性について,EU等との相互依存関係や独自の付加価値貿易の分析により明らかにすることである. 2020年度は, 感染症蔓延によりロシア統計局でのヒアリングは行えなかったが, 新規に公表された2016-2018年も含めて,供給表・利用表(SUT)について系統的なデータ構造を詳細に再度吟味し,SUTからの対称的投入産出表の導出を試みた.また米国等のSUTとも比較分析を行った.石油・ガス部門の輸出税,輸出商業マージンを石油・ガス付加価値(税抜きの基本価格)に加えて,石油・ガス部門の生産と貿易を統合し,石油・ガス部門の生み出すGDP(市場価格)の系統的再計測を実施した.また,ロシア産業連関表の国際産業連関表への新たな組み込みによるグローバル・バリューチェーン(GVC)の分析を本格的に開始するための準備作業を実施した. ロシア高等経済研究院とフィンランド銀行移行経済研究所とは、onlineの共同研究を進めた(データの議論と共有). 分析結果の国内学会や国際学会での報告は,感染症により延期となったが, 台湾(対面)やトルクメニスタン(オンライン)向けにチュートリアル講演を実施し海外発信を試みた.
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