研究実績の概要 |
本研究の目的は,(1) ロシアの2011年,2016年の大規模産業連関表と2012-2015,2017-2019年延長表の画期性について詳細な検討を行い,同時に石油・ガス産業等や価格表示について補正を行った代替的な組換え産業連関表を初めて提示し,軍事産業の分析も行うこと,(2)新規産業連関表を126部門,98部門,59部門, 30部門,1部門レベルで利用し,ロシア国内産業構造を基本価格表示と生産者価格表示で分析すること,(3)新規産業連関表を国際産業連関表の中に組み込み,グローバルサプライ・バリューチェーン(GVC)の現状について,EU等との相互依存関係や独自の付加価値貿易の分析により明らかにすることである. 2022年度は, 2020-2021年度と異なり、感染症蔓延の鎮静化により国際学会での対面での情報発信も限定的ではあるが行いえた.これまでの研究を引き継ぎ、新規に公表された2016-2019年表も含めて,供給表・利用表(SUT)についてデータ構造を再検討した.石油・ガス部門の輸出税,輸出商業マージンを石油・ガス付加価値(基本価格)に加えて,石油・ガス部門の生産と貿易を統合し,石油・ガス部門の生み出すGDP(市場価格)の系統的再計測を実施した.また,ロシア産業連関表の国際産業連関表への新たな組み込みによるグローバル・バリューチェーン(GVC)の分析を本格的に開始するために、OECDの新規国際産業連関表体系を利用したEU-Russia間の産業連関の利用研究を実施した.これらの成果の一端は、onlineならびに対面での国際会議で報告し討議を重ねた.石油・ガス産業と軍事産業に着目した産業連関分析も実施し,垂直分業の国際産業連関分析に着目してGVCの本格的な分析を進展させた.また,トルクメニスタン統計局員に対してSUTの作成について系統的チュートリアルセミナーを実施した.
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