研究課題
本研究では, 経済時系列おけるバブルの発生と感染症におけるパンデミックの発生に対し,それぞれ自己回帰過程と分枝過程によってモデリングを行い,非エルゴード的な問題という共通の数学的構造が現れることに着目し,統計的逐次解析の手法を適用する.バブルの発生に関するモニタリング問題に対しては,一般線形過程を含むエルゴード定常な誤差項をもつ単位根過程,または安定的な局所単位根過程を帰無仮説として,対立仮説を爆発的な局所単位根過程とする検定問題を考えた.また,パンデミックの発生に対しては二次感染者数の分布を負の二項分布を含むべき級数分布を考え,基本再生産数が1を超えるかどうかの検定問題を考えた.モニタリング問題としてとらえるのでランダムな停止時をもちいる逐次検定の方法を提案し,フィッシャー情報量に基づいた停止時刻で評価した検定統計量を提案した.それは停止時点での尤度比検定と同等となり局所漸近正規の形をもつ。すなわち局所パラメータに対する対数尤度比は帰無においてはブラウン運動,対立においてはドリフト付きのブラウン運動となる,したがって,局所パラメータに対し停止時刻までに行う任意の確率化検定を含む検定の中で一様最強力な検定となることが示された.また,停止時刻の極限分布が,帰無仮説と局所対立仮説のそれぞれの下でベッセル過程で表現されることを示し,動作特性を理論的に計算し,シミュレーション結果と整合的であることをみた.これらの結果は,p階の自己回帰過程に関する単位根検定に関わる統計的逐次解析の動作特性と,ゴルトン=ワトソン分枝過程に関する臨界性検定に関わる統計的逐次解析の動作特性に関する,Mathematicaをもちいた数値計算とシミュレーションについての2つの研究成果として,世界最大級の2つの統計学会BernoulliとISIの合同統一大会において報告された.
“ 分枝過程(Branching Process)に対する停止時刻を用いた統計的検定 ”ウィルス感染の基本モデルである分枝過程(Branching Process)の基本再生産数に関して停止時刻を用いる統計的検定(逐次検定)の研究を京都大学経済研究所等と共同で実施しています。
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Discussion Paper Series, Center for Economic Growth Strategy, Yokohama National University
巻: 2020-CEGS-05 ページ: 1-14
https://www.ynu.ac.jp/special/topic/research01.html