研究実績の概要 |
本研究の目的は、動学パネルデータモデルの頑強かつ計算の容易な新たな推定手法を開発し、グロバール経済・エネルギー消費・環境の時空間相互関係性の研究など、これまでにない実証分析を行うことであった。とりわけ以下の3課題を追及した。 課題1は、パネル大標本を使ったクロスセクション相関がある動学パネルモデルの推定・検定法の開発であったが、研究成果はNorkute et al.(2021)としてJournal of Econometrics誌に掲載された。同アプローチの時空間モデルへ拡張や(Cui et al. 2020)、関連研究であるクロスセクション相関並びにランダム係数にロバストなアプローチ(Cui et al.2019)を第一草稿としてまとめた。さらに因子分析のより一般的な弱因子モデルの推定・検定法を研究した。最終年度には、課題1を静学パネルモデルへ拡張し、その成果はCui et al.(2021)としてEconometrics Journal誌に、弱因子モデルの推定・検定法はUematsu et al.(2021a,2021b)としてJournal of Business & Economic Statistics誌にそれぞれ掲載が決まった。 課題2は上記のように課題1の拡張研究が大幅に増えたため計画通り進まず、残された重要な研究課題となった。 課題3は、CO2排出量・エネルギー消費・マクロ経済のグローバルな動学パネルモデルの推定・予測・インパルス応答分析であった。具体的には、本研究にて石油・天然ガス・石炭の32国・四半期消費データを収集・加工し、最終年度にCOVID-19パンデミックが2020Q1-2021Q4の2年間における世界の化石燃料消費量とCO2排出量に与える影響を分析した研究結果はSmith et al.(2021)としてEnergy Economics誌に掲載された。
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