研究実績の概要 |
今年度においては、昨年度までに実施した研究をさらに進捗させるとともに、新規課題にも取り組んだ。 第一に、テイラールールのパラメータ推計に関する分析である。これは、経済に存在する各種の根源的ショック(技術進歩ショック、原油供給ショック、不確実性ショック、金融ショック等)に応じて、中央銀行が行動を変えているか否かを推定する方法を開発し、実際に検証したものである。東大でのセミナーでの発表等を受けて、追加分析を行い、結果の取りまとめを行った。国際的学術誌に投稿を行い、Economics Letters誌にアクセプトされた。 第二に、金融政策効果の非線形性の分析である。中央銀行は、大胆な政策変更を行う場合や小刻みに政策変更を行う場合がある。こうした行動のとり方によって、金融政策効果が違いえるのかを検証した。東大や国際学会等でのコメントを受けて、追加分析を実施し、草稿を取りまとめている。今後、国際学会誌への投稿を展望する。 第三は、金融政策の一環として行っている、資産買い入れの効果に関する分析である。こちらは、昨年度から論文の改訂を進め、国際的学術誌への投稿を展望している。 第四は、第一の分析の際に検討した論点を取りまとめた派生的研究であり、中央銀行の目的とする物価の安定が、経済の構造によって変わりえることを示したものである。これは、国際的学会誌に投稿を行い、Journal of Money, Credit, and Banking誌にアクセプトされた。
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