本研究は、不完全競争下における企業行動とその社会上の評価についての理解を更に深めるべく複数財生産などといった現実的状況を想定し、価格転嫁(企業にとっての費用要因の変化が、販売価格にどのように影響するか)のメカニズムに着目することによって、公共政策や競争政策と関わる厚生指標について理論的・実証的側面からの研究を行った。その結果として、1次元の費用要因に着目していた既存研究の結果を、より一般的な多次元の状況に拡張することに成功した。また、両面的市場におけるプラットフォーム企業などの垂直構造も対象にし、企業間取引の交渉的な側面といった観点から、最終消費者に対する価格との関係についても分析を行った。
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