研究課題/領域番号 |
18K01581
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
矢崎 敬人 工学院大学, 情報学部(情報工学部), 准教授 (10345150)
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研究分担者 |
丹野 忠晋 拓殖大学, 政経学部, 教授 (40282933)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 特許制度 / 営業秘密 / イノベーション / スピルオーバー / クールノー競争 / シュタッケルベルク競争 |
研究実績の概要 |
企業がイノベーションから利益を得る手段として,技術の特許化,秘匿,リードタイムの活用等がある.本研究では,企業が新技術をどのような場合に特許化しどのような場合に秘匿するか,また特許化する場合にはどの程度の情報を開示するか,特許化と技術秘匿をどのように組み合わせるかについての意思決定を理論的に検討している. 本年度はまず,各国の特許制度における,特許権成立のために求められる進歩性の程度,審査請求制度の有無,出願公開制度のあり方,特許権が侵害された際の救済のあり方,先使用権制度のあり方について,また各国でどのような場合にどのような形で企業秘密が保護されるかについて,法令・判例や事例研究を含む書籍・資料を収集・分析した. 営業秘密保護の強度は,企業間のスピルオーバーの程度を左右する.本年度は理論的分析として,プロセスイノベーションのスピルオーバーの程度により,製品市場競争における独占,複占クールノー競争,リーダーとフォロワーがいる複占シュタッケルベルク競争のいずれにおいて研究開発のインセンティブが高いか,また社会的厚生が高いかの比較を行った.イノベーションの費用が比較的低い場合には,スピルオーバーが大きいときには独占の下での方がシュタッケルベルク競争の下でよりもイノベーションが活発におき,社会的厚生が上回る場合があることを示した. また,企業が研究開発の成果を公開するか企業秘密として保持するか特許化するかを分析するモデルを構築し,分析を進めている.本分析は次年度継続し,深化させる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各国の特許制度,営業秘密保護制度についての調査は概ね想定どおり進んだ. 理論的検討については,企業が研究開発の成果を公開するか企業秘密として保持するか特許化するかを分析するモデルの構築は想定より遅れた. 他方で,当初予定には入っていなかったが,プロセスイノベーションのスピルオーバーの程度により,製品市場競争における独占,複占クールノー競争,リーダーとフォロワーがいる複占シュタッケルベルク競争のいずれにおいて研究開発のインセンティブが高いかの分析を進めることができた.
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今後の研究の推進方策 |
研究分担者,他研究者との連携をより強固にし,研究計画を柔軟に深化させつつ,着実に実施する.
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次年度使用額が生じた理由 |
条件に適合するノートブック型パソコンを購入することができなかったため.次年度以降購入予定.
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