研究課題
基盤研究(C)
社会の意見を2分するリスクの大きいプロジェクト施行の是非に関するメディアの役割を、リスク評価のための調査研究活動への影響という観点から分析した。調査報道は、暴露する内容によって、リスク研究を妨げる場合と促進する場合がある。メディア企業が先験的に持っている意見を社会に働きかけようとする行為は、施行の決定権を持つ主体がよほどリスクに関して楽観的でない限り、リスク情報取得を妨げる。実証分析の結果は、望ましい水準よりリスク情報の取得を妨げる方向に偏る可能性を示す。
経済政策
原子力発電、遺伝子組み換え技術等、高いリスクが予想されるプロジェクトでは、社会の意見は2分されてしまうので合意形成は難しく、十分な調査研究がされないまま、プロジェクトが進んでしまう。問題の難しさを説明するモデルを示し、リスク情報取得に与えるメディアの役割を明らかにした。日本におけるメディアの研究が他国に比べて少ない中、理論的および実証的な分析を通じて、報道活動が社会に及ぼす影響を深く理解するための基盤を提供した。