研究課題/領域番号 |
18K01586
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
明城 聡 法政大学, 経済学部, 教授 (70455426)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 都市ガス事業 / 公営事業の民営化 / 参入・退出 |
研究実績の概要 |
1.前年度に引き続いて、都市ガス事業における託送制度と地域別の企業の参入・退出行動に関する構造モデルの推定を行った。構造モデルの推定に必要となる企業のパネルデータについては、前年度までに構築済みであるため、現在行っている主な作業は理論モデルの導出と推定のためのプログラミングの作成である。理論モデルについては、主に企業の参入する際の動学的な利潤最大化条件と企業間の競争モデルの見直しを行っている。この際に最も困難となるのが構造モデルの均衡解が単一解として求められるかどうかであるが、これをプログラム作成と合わせて確認しつつ、適宜理論モデルの修正を行っている段階である。2.公営ガス事業者の事業譲渡による民営化に関して、以前に執筆した生存時間分析の論文を英文書籍として出版した。こちらについては、2021年にSpringer社から出版された"Privatization of Public City Gas Utilities" (Kobe University Monograph Series in Social Science Research)の第2章に掲載されている。なお、この作業に関しては、元になった日本語論文を英訳する際に新規での文献調査や定量分析を加えるなど内容に大幅な改訂を加えている。また、英文校正の段階で専門家からの意見を募るなど文章表現を含めて大きく改善したものと考えている。この論文についてはResearchGateでの研究者コミュニティでも公開中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の研究計画では2020年度に、2017年4月に行われた都市ガス事業の小売自由化と一般家庭の契約企業のスイッチングに関する調査・研究を行う予定であったが、こちらについては現段階で取り組むことが出来ておらず計画に遅延が生じている。この理由としては2020年2月に始まったコロナ禍によって本務校で研究代表者が開講している講義のオンライン対応やそのための準備(講義資料の作り直しや動画撮影等)に相当の時間を割かねばならなくなったこと、更に2020年度は大学院執行部として学務に携わることになったため、コロナ対応の事務作業や入試業務等を含めて研究に割ける時間が大幅に減少してしまったことが大きい。
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今後の研究の推進方策 |
都市ガス事業者の参入・退出に関する研究については引き続き構造モデルの推定とプログラムの修正を行っていく。こちらについては進捗状況をみつつ、早い段階で論文執筆にとりかかれるようにする。また、契約企業のスイッチングに関する調査・研究については現時点で大幅な遅延が生じており、当初の計画から変更が必要である。特にデータ収集に調査会社を利用する必要があるため、そのための時間を考慮すると最終年度である2021年度内に研究を完遂することは難しいと考えている。このため研究期間の延長申請を含めて研究計画を再考する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍にあって当初予定していた旅費が計上されなかったこと、また、一般家庭のガス契約会社のスイッチングに関する研究が遅れたことにより調査費用が計上されなかったため、当初予算と実際の使用額に差が生じている。旅費については、今後の国内外での移動制限が続く可能性が高いため、一部はオンライン対応のためのデバイス購入等の物品費に切り替える予定である。また、調査費用については研究計画の変更に伴い、研究期間の延長等を視野にして必要な経費を計上する予定である。
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