不動産市場が収縮し価格が下落する局面においては、企業等のバランスシートが毀損されるため、不動産を保有している企業の信用リスクが急速に拡大することで、直接・間接的に信用不安が他の資産市場や実物市場に波及することになる。わが国におけるバブル経済の崩壊やリーマンショックに伴う世界的な金融危機はその好例である。リアルオプションモデルによって、開発ブームとその収縮を記述する既存研究は多いが、不動産需要の不確実性に関する分析が大半であり、開発費用の構造に焦点を当てた研究はほとんどなく、今後人口減少や資源獲得競争が激しくなる現代において、開発コストに焦点を当てた研究は学術的にも意義あるものと考えている。
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