研究課題/領域番号 |
18K01590
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
横田 一彦 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (40390819)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | サプライチェーン / 付加価値貿易 / 貿易構造 |
研究実績の概要 |
サプライチェーンを通じた貿易構造の変化をアジア,北米,ヨーロッパの3地域を対象に,付加価値貿易と中間財貿易構造の違いを明らかにする実証研究を行った。OECDのInter-Country Input-Output (ICIO)をもとに計算された中間財貿易指数と付加価値貿易指数が国際間の賃金格差,経済規模,物理的距離,共通言語や,宗主国関係の有無,自由貿易協定の有無といった要因にどの程度影響を受けているかを様々な推計方法によって推計した。その結果,1.アジアとヨーロッパの最も顕著な違いはアジアでは賃金が安い国ほど中間財も付加価値も輸出している。2.アジアでは中間財と付加価値貿易の賃金水準と賃金格差の弾力性の値の差がヨーロッパのそれに比べて大きい→アジアでは絶対的な賃金水準と賃金格差が中間財貿易に与える影響に比べ,付加価値貿易を増大させる効果が小さいといった顕著な特徴がみられた。これらのことから付加価値貿易で見るとアジアではヨーロッパに比べより垂直的な産業構造があると考えられる。この結果を2018年10月27-28に国立台湾大学で開催されたThe 16th International Convention of the East Asian Economic Association国際大会で“Evolution of Supply Chain Networks in East Asia, North America and Europe: A Comparative Study” のタイトルで発表した。 この成果をまとめてできるだけ早い段階で論文を完成させる予定である。また,同時にこの研究を進めて,賃金を未熟練労働や熟練労働に分類し,これらの労働の質の違いが3地域のサプライチェーンの形成にどのようにかかわっているかを解明する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ドラフトを2018年10月に東アジア経済学会総会(第16回国際大会)国立台湾大学で発表・議論し,この関連分野の世界の研究動向を把握でき,かつ今後の研究の方向の示唆を得た。また入手可能なデータ,特に国別・産業別賃金データに関しても情報を得ることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
2018年10月に被害アジア経済学会で発表したドラフトをもとに現在修正稿を作成中であり,なるべく早くワーキングペーパーにしたいと考えている。同時に,新たな賃金データを用いた貿易政策のサプライチェーンへの影響に関する実証研究を開始する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
15K03474の最終年度の論文の英文校正等の作業がずれ込んだため。
|