本研究では日本を含めた世界の貿易政策がサプライチェーン構造の変化を通じて国際間の賃金格差,経済規模,物理的距離,共通言語や,宗主国関係の有無,貿易政策(自由貿易協定)の有無といった要因にどの程度影響を受けているかを推計した。主要な結果は①ヨーロッパに比べアジアでは賃金が安い国ほど中間財も付加価値も輸出している②アジアでは絶対的な賃金水準と賃金格差が中間財貿易に与える影響に比べ,付加価値貿易を増大させる効果が小さいといった顕著な特徴がみられた。これらのことから付加価値貿易で見るとアジアではヨーロッパに比べより垂直的な産業構造があると考えられる。
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