研究課題/領域番号 |
18K01594
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
田中 靖人 同志社大学, 経済学部, 教授 (10188344)
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研究分担者 |
佐藤 敦紘 北海学園大学, 経済学部, 准教授 (70735323)
服部 昌彦 高崎経済大学, 経済学部, 准教授 (90803718)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ライセンス / 技術革新 / ロイヤルティ / 世代重複モデル / 非自発的失業 / 財政政策 |
研究実績の概要 |
本年度は二つの方向で研究を進め複数の論文を海外の査読付き学術誌に発表したり,あるいは発表することが決定したりした。一つは同質財または差別化財を生産する寡占における技術革新・新技術の導入の問題であり,新技術を開発した産業外の革新企業が自らは参入せずにライセンス料をとって新技術を供与する戦略,自らも参入しながら既存企業に対してライセンス料をとって新技術を供与する戦略,自ら参入するだけで技術の供与をしない戦略のいずれの戦略を選ぶのかということについて,参入しない場合のライセンス料についても参入する可能性を脅しとして用いるような二段階オークションという考え方を取り入れて分析した。もう一つは世代重複モデルを用いた非自発的失業および完全雇用実現へ向けた財政政策の理論的な分析である。完全競争または独占的競争を仮定し,若年世代と老年世代の2世代,またはそれらに幼年世代を含む3世代の世代重複モデルによって需要不足あるいは政府支出の不足によって非自発的失業が存在する可能性を明らかにするとともに,それを解消するための財政政策の役割について分析を展開した。3世代の世代重複モデルを考えることによって非自発的失業が存在するときに名目賃金率が低下することによって生じる可能性がある実質残高効果(いわゆるピグー効果)が正ではなく負に働き,自動的に非自発的失業を解消する作用が機能しない場合があることを示した。そのような場合には財政政策によって完全雇用の実現を図らなければならず,またそれが可能であることについて理論的に明確にした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コンスタントに学術雑誌に論文を発表できている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの寡占の研究を発展させて,微分ゲームを用いた動学的な寡占の研究や垂直的差別化(企業によって品質が異なる財を生産する寡占)の研究を進めて行くとともに,新たに始めた世代重複モデルによる非自発的失業と財政政策の効果についての研究を積極的に展開して行きたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
パソコンの購入や旅費に使った金額が少なかった。次年度はパソコンの更新を予定している。
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