研究課題/領域番号 |
18K01594
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
田中 靖人 同志社大学, 経済学部, 教授 (10188344)
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研究分担者 |
佐藤 敦紘 同志社大学, 経済学部, 准教授 (70735323)
服部 昌彦 高崎経済大学, 経済学部, 准教授 (90803718)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 研究開発 / ライセンス / 微分ゲーム / 完全雇用 / 世代重複モデル / 寡占 / 財政赤字 / 政府債務 |
研究実績の概要 |
本年度も昨年度までに引き続き複数の論文を海外の査読付き学術誌に発表したり,あるいは発表することが決定したりした。昨年度までの研究をもとに,動学的な分析を含めて同質財または差別化財を生産する寡占における技術革新・新技術の導入の問題やライセンスの問題についての研究も継続しているが,主に最近研究を始めた非自発的失業および完全雇用実現へ向けた財政政策の理論的な分析の研究を中心に展開した。これまでは世代重複モデルを用いた研究が中心であったが,人々が無限に生きるモデルも取り扱っている。後者については離散的な時間を想定したものと連続的な時間を想定したものの双方を研究対象としている。特に人々が財の消費だけではなく貨幣の保有によっても効用を得る場合に成長経済においてインフレなき完全雇用を実現するためには継続的な財政赤字が必要であることや,消費者の消費性向が小さすぎない限り,国債利子率が成長率より少しくらい高い場合でもインフレを起こさずに完全雇用を実現・維持したときに政府債務のGDP比が発散することはないということについて研究を進めている。政府債務のGDP比に関しては政府債務の利子率と経済成長率の比較に基づくドーマー条件が知られているが,当初その条件が成り立たないときには政府債務に対応した人々の金融資産保有が増え,そこから消費が行われる場合,政府債務のGDP比が発散するならば消費のGDP比も発散する。しかし,消費はGDPの一部であるからそのGDP比が1を超えることはないので矛盾が生じる。したがって政府債務のGDP比が発散することはありえず,適当な率のインフレーションが生じることによってドーマー条件が成り立つようになることなどを明らかにした。連続的な時間を想定し人々が無限に生きると仮定したモデルの分析手法は動学的な寡占の分析手法と同様のものであり,互いに関連した研究である。
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