研究実績の概要 |
医療サービスを含むサービス産業は多くの国の経済の中でもっとも大きな比重を占めている。その特徴のひとつは消費に時間がかかることである。先進工業国を含む多くの国では外国人労働者の受け入れを進めている。医療サービス産業では、英語圏の国を中心に医者、看護士、介護士など多くの外国人労働者を受け入れている。医療サービスの供給量の変化は、その消費者〈患者〉の労働供給にも影響を与えている。 研究代表者の “A model for liberalizing nursing and trade,”by Masao Oda and Masayuki Okawa, (Japan and the World Economy, 2018)においては、看護士の労働移動の自由化政策の効果を一定明らかにした。しかし、この分析では医療サービスの消費の時間費用及びそれが労働供給量に与える効果が十分に分析されていなかった。 医療サービス消費の時間的費用とその消費量が消費者の労働供給に与える効果を導入した小国の貿易モデルで、医療サービス部門での外国人労働者の受け入れ自由化の効果についての理論的分析をすすめている。現在、いくつかの興味深い結論は得ているので、これから論文としての体裁を整え完成できるよう分析を進めている。 上記分析と並行して、井口達也氏(立命館大学客員研究員)との共同論文,”Welfare effects of trade liberalization and profit tax reform under imperfectly competitive vertical trade,” (Ritsumeikan Discussion Paper No. 18001, 2018)に、外国人労働者の受け入れ政策を導入して、国内企業に受け入れられる場合の国内厚生と貿易自由化政策に与える効果の分析を進めている。
|