研究課題/領域番号 |
18K01596
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
大堀 秀一 関西大学, 総合情報学部, 教授 (70378959)
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研究分担者 |
友田 康信 広島大学, 人間社会科学研究科(社), 教授 (30437280)
紀國 洋 立命館大学, 経済学部, 教授 (90312339)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 廃棄処理料金 / 耐久財 / 不法投棄 |
研究実績の概要 |
本研究では、耐久財独占モデルにおいて、廃棄物処理手数料の徴収時期が、生産者の内蔵製品耐久性の選択と社会厚生にどのような影響を与えるかを検証した。本研究では、廃棄物処理料金の政策を、事前廃棄処理料金(ADF)政策と事後廃棄処理料金(DF)政策の2つに分類した。DF政策は耐久性に対して2つの相反する効果を持つことを示す。第一に、DF政策は生産者に耐久性を高めるインセンティブを与え、家計の廃棄物処理を遅らせ、将来の廃棄料金の支払いを割り引くことができる(支払い-割引効果)。第二に、DF政策は、消費者が廃棄料金の支払いを軽減するために廃棄物を不法に投棄するインセンティブを生み出し、生産者には市場の飽和とそれに伴う将来の価格引き下げを避けるために耐久性を低下させるインセンティブを与える(不法投棄効果)。廃棄料金が低い場合、DF政策の下では、支払割引効果が不法ダンピング効果を支配し、耐久性の向上につながる。この場合、社会厚生の観点からは、不法投棄による環境破壊が深刻でなければ、DF政策はADF政策よりも望ましいと考えられる。しかし、廃棄料金が高い場合には、DF政策は不法投棄を誘発し、耐久性を低下させ、環境被害を拡大させる。したがって、廃棄料金が高い場合、ADF政策はDF政策よりも社会的に望ましいといえる。さらに、寡占状態の場合を検討した結果、市場支配力が小さい産業ではADF政策がより社会的に望ましいことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究が査読付国際誌に受理されたことから、本研究はおおむね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
現在、廃棄物政策と民営化に関する理論研究が進行中である。学会やワークショップ等で研究報告し、できる限り本年度中に査読付国際誌に投稿予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの蔓延により、参加予定であった国際学会がオンラインに変更されたため次年度使用額が生じた。本年度は年度末に予定されている国際学会及び国内学会に参加するなどして有効に使用する予定である。
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