研究課題/領域番号 |
18K01598
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
水野 敬三 関西学院大学, 商学部, 教授 (40229703)
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研究分担者 |
堀 敬一 関西学院大学, 経済学部, 教授 (50273561)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | インフラ整備 / 抱き合わせ販売 / 情報獲得阻止 / 参入阻止 / 私的情報 / シグナル効果 |
研究実績の概要 |
本年度は昨年度に仕上げた研究論文"Preventing Information Acquisition through Bundling"の分析を拡張し、論文タイトルも"Strategic Aspects of Bundling to Prevent Information Acquisition"と変更した。この論文は、補完的関係にある2財市場において生産活動を行う既存事業者(例えばブロードバンド設置とインターネット・サービスを提供するNTTやパソコンのOSとアプリを提供するマイクロソフトなど)が抱き合わせ販売を用いて、新規参入者の情報獲得阻止と参入阻止ができることを理論分析により示している。この結果に加え、「既存事業者が私的情報を持っている場合、抱き合わせ販売自体にシグナル効果はないにも関わらず、既存事業者の情報獲得阻止誘因と参入阻止誘因が一層強まり、抱き合わせ販売をする誘因が強まる」ことを追加の分析結果として導いた。 2015年度から継続中の研究論文"Excessive Formation of Joint Ventures with Strategic Technology Non-Adoption"は2021年12月に国際審査制学術雑誌に投稿した(3度目の国際審査制学術雑誌への挑戦となる)。現在、その査読結果を待っているところである。 昨年度まで"Does Bundling Signal Productivity in Network Industries?"と題して作成していた論文は、本年度には論文タイトルを"Signaling by Infrastructure Coverage"と変更し、その内容も大幅に改訂した。現在、論文の分析結果は日本語ノートの状態である。この論文はインフラ事業者が主催する研究会で報告された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、研究論文"Strategic Aspects of Bundling to Prevent Information Acquisition"を本年度中に国際学会等で報告する予定であった。しかし、コロナ禍の状況が改善しないため、国際学会での報告機会を失った。ただし、報告前に追加の分析成果が得られたことは大きな収穫であった。 現時点では、研究論文"Signaling by Infrastructure Coverage"の分析結果は日本語ノートにまとめた状態である。このノートに研究動機や既存研究との関連を加筆し、英文の研究論文に仕上げる必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度には、次の2つの作業に注力する予定である。 1.研究論文"Strategic Aspects of Bundling to Prevent Information Acquisition"を国内のセミナーおよび国際学会で報告し、本年度中に国際審査制学術雑誌に投稿する。(既に6月に名古屋大学のセミナーで報告することは決定している。また9月に開催されるヨーロッパ産業経済学会での報告にも応募済みであり、現在その採択結果を待っている。) 2.研究論文"Signaling by Infrastructure Coverage"の英文第1稿を仕上げ、国内のセミナー・学会、国際学会で報告する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に国際学会での研究報告を計画していたが、コロナ禍の状況が好転しなかったため、引き続き海外出張を断念せざるを得ず、海外出張費を使用できなかった。令和4年度には国際学会出張を予定しており、海外出張費として使用する予定である。
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