研究課題/領域番号 |
18K01603
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高木 真吾 北海道大学, 経済学研究院, 教授 (10326283)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | パネルデータ / 標本選別モデル |
研究実績の概要 |
今年度は,横断面・時点面のような二方向に広がったパネルデータを用いた標本選別モデル・スイッチング回帰モデルの推定法の理論研究とその応用について重点的に研究を行った.特に,観測されない異質性を捉える固定効果として,通常の加法的固定効果に加え,乗法的固定効果(交差固定効果)を含むモデルへの適用方法を提案した.通常の最尤法での実行は,推定すべきパラメータの次元が著しく高いため,非常に不安定であるが,二段階のECMアルゴリズムを用いることによって最尤推定値が容易に得られることを示した. この最尤推定量は,二方向への漸近理論を考える他のパネルデータモデルと同じく,(基準化した推定量の漸近分布の平均がゼロでないという意味で)漸近分布の中心はバイアスを持つが,そのバイアス修正法と漸近分散の計算手法についても提案を行った. 提案した手法をモンテカルロ実験にて検証したのち,二方向パネルデータと同じ構造を持つ二者間取引データ(二国間での輸出量データ)へ適用し,実証分析を行い,オーストラリアで行われた国際学会にて報告を行った(タイトル:Measuring The Asymmetric Effects of Cultural Relations On Music Trade Using A Sample Selection Model With Additive and Interactive Fixed Effects). 本研究課題の電力自由化問題については,近年のデータ収集進める一方で,構造推定を用いた日本の電力小売市場のモデルの実証分析の改訂を行っている.本年は間接推定を用いた構造モデルの識別について考察を行い,その十分条件について考察を行い,新しいデータを追加したのち,新たな実証分析を行うための礎を築いた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パネルデータモデルの理論的考察と推定アルゴリズムは実装された.データの収集は途中段階であるが,収集が終了したのちの実証分析を行うための考察は完了している.
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今後の研究の推進方策 |
小売データの近年分の収集と電力小売市場の自由化の現状についての考察を深める.
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に参加予定であったワークショップへ参加できなかったため全額を使用しきれなかった.次年度は,国内で開催される学会へ追加的に参加を考えているため,残額を利用できる予定である.
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