研究課題/領域番号 |
18K01608
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
薛 進軍 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (40262399)
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研究分担者 |
孟 渤 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター, 主任調査研究員 (70450541)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 一帯一路 / グリーン開発 / 産業連関表 / 炭素排出 / 環境アセスメント / 中国 |
研究実績の概要 |
1、『中国産業連関表2012年』を入手し、中国と「一帯一路」国の投資貿易関係の産業連関表を作り、本研究に必要なデータベースを構築している。 2、2019年9月、北京で「第7回Beijing-Humboldt Forum」を共催し、世界30ヵ国から約500人の研究者を参加させた。中には「Green Energy and High-Quality Development」の分会を主催し、中国国家発展改革委員会・エネルギー研究所、自然資源保護協会(NRDC)等の機関からの専門家ら約100人を集め、本課題に関する研究報告を行った。研究代表者の薛は「日本の水素社会計画およびその中国への意味」の基調講演を行った。 3、2019年11月に、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)・JETROアジア経済研究所と連携し、「持続可能な発展のためのイノベーション」をテーマにした国際シンポジウムを開催し、国内・海外から109人の研究者を集まり、研究の成果を報告した。ともに「Green Belt and Road」のワークショップにて本課題に関する30本の研究報告を行った。 4、2018-2019年度では、計14本の共同論文を学術誌に発表した。中には、Impact Factor (IF)の高い国際誌 Applied Energy(F=8.48)、Energy Economics (IF=4.68)などに共同論文を掲載した。それらの研究により、「一帯一路」の途上国におけるエネルギー消費の増加、中国との投資貿易活動の増加による炭素排出が急増していることを判明し、これから地域別・産業別・ルート別のグリーン開発政策の設定、グリーン開発アセスメント指標の導入を研究の重点となっていく。 5、2019年で本研究における主な問題点としては、「一帯一路」国のデータの不備、投資時期の短さによる時系列分析の難しさである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画は予定の通り進んでいる。 (1)『中国産業連関表2012年』にベースに国別のデータ収集とデータベースの構築をしている。そのデータベースに基づいて論文を作成し、研究は順調に進んでいる。 (2)上述の研究会・ワークショックおよび国際シンポジウムにて研究報告を行い、予定よりはやく研究成果が出ている。 (3)2018-2019年では、計14本の共同論文を国際学術誌に発表した。特に、レベルの高い国際誌Nature Communications、Applied Energy、Energy Economics発表した共同論文は、本課題の一部の目標達成をしたとはいえる。 (4)『中国低炭素経済発展報告書2019-2020』を出版し、関連国の政府にグリーン開発の政策提案を提出している。
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今後の研究の推進方策 |
1、中国と「一帯一路」関連国のデータベースを完成し、環境アセスメントを行う。 2、産業連関表を利用して、一帯一路への投資による諸国特にアジアの国の産業構造・貿易構造の変化を分析し、その環境にかかる負荷・炭素排出の量を推計する。これにより炭素排出の源泉・構造・要因を分析し、対策を考えていく。 3、11月28日~12月2日タイのバンコクでESCAPと連携し、「グリーン一帯一路と持続可能な発展」の国際会議で共催し、共同研究の成果を報告し、国連機関に政策提案をする。 4、引き続き、Nature Climate Change, Energy Economics, Applied Energy等の学術誌に投稿し、研究の成果を公表する。さらに、『中国低炭素経済発展報告書2019-2020』を出版し、関連国の政府に政策提案を提出する。 5、『緑色発展経済学』の本を作成し、経済学の新たな理論を創出していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
1、関連国のデータ収集と整理費用として 30万円 2、タイのバンコクでESCAPと共催する国際シンポジウムに会議費として使う予定:50万円;資料の収集などのアルバイト謝金として、10万円 3、東京・北京などに出張費として、20万円
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