研究課題
本課題研究では、ASEAN諸国経済が先進国水準に到達するための方法を理論・実証両面から模索してきた。分析の結果、当該諸国の成長には生産性向上とそのための人材育成・教育や技術支援が重要であることが明らかにされた。理論的枠組みに関しては、国家の非対称性を導入したfirm-heterogeneity(企業の異質性)モデルを開発し分析に用いた。本年度は研究最終年度であるため、これまでの研究成果のとりまとめと査読付き英語雑誌への論文投稿作業を中心に行った。ただし未完成の論文がまだ複数あるため、執筆・投稿作業は継続する(執筆論文の多くは投稿中あるいは投稿に向け改訂中)。また研究プロジェクト推進のための研究会開催や研究成果の対外発信にも注力した。具体的には複数の基盤研究や他の所属機関とも連携した研究会を4回開催、関連情報をwebsiteにて公開した。本年度の研究成果概要は以下の通り。・過年度に執筆した異質性を含む貿易理論(新新貿易理論)の解説論文について、出版前の改訂作業を行った(掲載書籍は近刊予定)。・公正賃金を導入した異質性モデルに、企業行動に関する新たな動学メカニズムを組み込んだ理論的枠組みを開発、貿易自由化の進展による影響を労働市場の不完全性に着目しつつ考察した。・先進国・途上国を想定した非対称2国異質性モデルやQuality ladderモデルを開発、途上国へのアウトソーシングの拡大や貿易自由化、環境規制の強化が経済や厚生に及ぼす影響を理論的に検証した。・東南アジアおよび南アジアを対象に、異質性モデルを用いて導出した理論仮説の現実妥当性を、各国個票データや日系企業データを用いて実証的に検証した。本研究の中心業績となるベトナム個票データを用いた技術伝播と生産性向上に関する理論・実証研究は未完成であるものの、理論分析は完了し、現在は生産性(TFPおよび労働生産性)推計の段階にある。
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すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件) 備考 (1件)
Institute for Policy Analysis and Social Innovation, University of Hyogo, Discussion Paper
巻: 143 ページ: -
巻: 140 ページ: -
巻: 135 ページ: -
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