市場の成長率や不確実性といった将来の経済環境を考慮し,企業のイノベーション・合併戦略,そして最適政策を明らかにした.従来,生産量競争を仮定した際,シナジー効果がないと合併のインセンテブがないことが指摘されていたが,逐次合併を考えると,合併のインセンティブが生まれること,また,その逐次合併により厚生を改善しうるパラメータ領域が存在することがわかった.この結果は,合併に関する競争政策を策定する際,将来の経済環境や企業行動を考慮することが重要であることを示唆する.また,完全公営化は厚生の観点から望ましくないことを明らかにした.これは,郵政民営化と近年の生保業界の事例に照らし合わせて整合的である.
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