気候変動政策における効率性と公平性への選好の役割：経済実験によるミクロ構造分析

2018 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 18K01630
• 研究機関: 中京大学
• 研究代表者: 内田 俊博 中京大学, 経済学部, 教授 (60463113)
• 研究期間 (年度): 2018-04-01 – 2022-03-31
• キーワード: 環境政策 / 気候変動 / 行動経済学

研究実績の概要

本研究では効率性と公平性のトレードオフに関する選好が気候変動政策の選択にどのような影響を与えるかというテーマについて、経済実験を通して定量的に示すことを目的としている。本年度の成果としては、理論モデルの構築、および経済実験用プログラムoTreeを用いて本研究の実験プログラムを作成したことが挙げられる。
（１）理論モデルの構築
関連する既存研究の理論モデルの分析を行い、本研究で必要な個人レベルで効率性と公平性のトレードオフを検証することができる理論モデルの構築を進めた。また、実験で必要となる各種のパラメータ値についても適切な値の検討を進めた。
（２）実験プログラムの作成
こちらについても既存研究の分析を行い、主に以下の2点について改善・改変を行った。一点目はビジュアルの改善である。既存研究ではビジュアルツールがほとんどなく、被験者は数式を用いて実験を進める必要があったため、一部の被験者は十分に実験内容を理解できていなかったと思われる。本研究では、被験者の画面にインタラクティブなグラフを表示できるように改善し、より効果的な実験プログラムの作成を進めた。また、本学は他大学と異なり専用の経済実験室がないため、通常の教室でも実験実施が可能となるような実験環境の構築を進めた。
以上のように、本年度の研究実績は実験実施のための準備にとどまっているが、次の段階に進むための準備としては着実に成果を出していると判断している。

現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

実験環境の構築等に時間がかかり、実際の実験実施にまで進めなかった。

今後の研究の推進方策

研究の次の段階として、実際に実験を実施してデータを得ることを進めたい。

次年度使用額が生じた理由

実験の実施にまで研究が進まなかったため、研究費の使用も少ない水準にとどまった。次年度は実験を実際に進め、次年度使用額は主に被験者への謝金支払いに充てる予定である。