• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実施状況報告書

Does compulsory schooling law benefit the populace? Evidence from Indonesia and Sri Lanka

研究課題

研究課題/領域番号 18K01635
研究機関立命館大学

研究代表者

宮田 幸子  立命館大学, 経営学部, 教授 (10646764)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワードeducation and inequality / education policy / household survey data / technology adoption / social learning / risk attitude
研究実績の概要

2021年度は、引き続き新型コロナ感染状況の改善について予測しづらい状況が続いた為、研究計画を調整し以下の研究を行った。
1.インドネシアについては、農村家計の新技術導入の意思決定に関する西ジャワ地域の家計調査データを用いて、二時点データのクリーニング作業を行い、新たな変数を追加してパネルデータを再構築し分析を行った。その結果、初期段階での技術採用には、社会的学習と高い忍耐力、また十分な人的資本が重要な役割を果たしたことが明らかとなった。 また、新技術は導入後15年以上経過すると標準化され、特定の能力、スキル、資源をほとんど必要としなくなることが分かった。本研究は論文としてまとめ、いくつかの国内外の学会に提出した。
2.スリランカに関しては、協力研究者の協力を得て取得した文献をもとに教育や政策の実施状況についての把握、及び新しい家計調査の実施状況について把握に努めた。
3.インドネシアとフィリピンにおける家計調査データを入手し、教育と消費支出格差に関する比較研究を実施した。都市と農村間の構造的な違いを考慮して行った。教育水準が都市農村間消費支出格差の大きな要因になっていることが明らかとなった。都市農村間教育格差を縮小させることは総消費支出格差縮小のために有効である。また、都市部の高等教育を受けた家計間消費支出格差が大きく、大学など高等教育機関の質的な格差是正も総消費支出格差を是正するために必要である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度のコロナ禍における遅延を受け、感染の継続を見込んで事前に研究計画を調整し、ある程度対応できる体制を整えた上で研究を進め、論文としてまとめることができた。
1. インドネシアの新技術導入の2000年と2010年の2調査データにおいて新たに変数を追加・作成し、パネルデータとして構築し分析した。その成果を論文としてまとめ、国際学会に提出した。
2. インドネシア、フィリピン、ミャンマーの東南アジア3か国における教育と消費支出格差に関する研究を家計調査データを用いて行った成果を、2021年6月にSpringer社から出版された本(Rural and Urban Dichotomies and Spatial Development in Asia)の中で掲載することができた(Chapter 6)。
以上の理由から、修正した研究トピックを用いて研究を行う軌道修正を行い、一定の成果が得られた。コロナ感染の継続により現地調査を大幅に見直し、現地調査やヒヤリング及び学会発表などはキャンセル・延期となったが、可能な限りオンラインで対応した。

今後の研究の推進方策

次年度も研究対象国の教育政策について現地資料などの文献検索、及び国際機関や政府機関発行の教育・貧困・格差などに関する資料や学術的な文献の収集を行う。特にインドネシア、スリランカ、フィリピンの経済成長、貧困削減、格差に関連した文献やデータを収集する。コロナ感染状況や現地渡航や省庁の外部者訪問受け入れが可能となった場合には、インドネシアの統計局や関連省庁を訪問し、国内の教育政策や貧困削減に関する政策についての情報収集や最新の家計調査データの収集を行う。具体的には、以下を予定している。
1. スリランカについては、家計調査データを用いて様々な教育政策の分析を実施している世界銀行等の国際機関や研究所の担当者等にコンタクトを取り、スリランカの貧困削減、教育政策などについてヒアリングを行い、最新の家計調査データ(HIES)を収集する。
2. フィリピンの教育と消費支出格差の分析を1997年から2018年の家計消費支出調査データを入手し、都市と農村の構造的な違いを考慮して行う。この研究では、ジニ係数を用いて都市農村間の教育格差分析を行った後、タイル尺度の二段階分解手法を用いた消費支出格差の要因分析を行う。
3. バングラデシュにおける教育と所得格差の分析を、2005年以降の家計所得支出調査データを用いて、フィリピンの研究と同様に都市と農村の構造的な違いを考慮して行う。

次年度使用額が生じた理由

理由は、新型コロナウイルスの感染拡大により、予定していた現地調査や国際会議が中止や延期となった。その為、予定していた海外出張費が未使用となった。
使用計画としては、新型コロナウイルスのアジアでの感染状況や現地の都市部や移動制限などによるが、感染の予防対策を講じた上で、インドネシアの統計局、教育省やフィリピンの国家経済開発局(NEDA)などを訪問し、教育政策や、所得格差是正に関する政策についてのヒアリングを行う予定である。また、最新の家計調査データの収集などを行う予定である。8月にマレーシアで開催されるEAEA(東アジア経済学会)やアジア開発銀行研究所(ADBI)東京で開催される国際カンファレンス等で研究成果を発表する出張を予定している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] Adoption, Standardization, and Malaise of a New Technology over the Long Run: Evidence from a Natural Experiment in Indonesia2022

    • 著者名/発表者名
      Miyata, S., Y.Sawada, and K.Takakura
    • 雑誌名

      Asian Economic Development Conference 2022, Asian Development Bank

      巻: - ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Urban and rural dimensions of the role of education in inequality: A comparative analysis between Indonesia, Myanmar, and the Philippines2021

    • 著者名/発表者名
      Akita, T. and S. Miyata
    • 雑誌名

      Rural and Urban Dichotomies and Spatial Development in Asia, A. Batabyal, Y. Higano, and P. Nijkamp ed., Springer

      巻: - ページ: 127-166

    • DOI

      10.1007/978-981-16-1232-9_6

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi