本稿では、事業者のバンドリング戦略が市場競争に与える影響について、実証的な分析を試みた。小売自由化において先行している英国の電力・ガス小売市場については、事業者の料金戦略を分析したところ、バンドリングが市場競争を促進する場合がある一方で、市場競争を制限する場合もあると解釈できるという結果が得られた。日本の電力・ガス小売市場については、消費者のデータを用いた分析を行った結果、セットで購入している消費者ほど事業者をスイッチしにくいという結果が得られた。このことは、セットで購入することによって、消費者のスイッチングコストが高まり、その事業者にロックインされる傾向が高まることを示唆している。
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