生活保護受給者(被保護者)の就労に関しては基礎情報自体が分かりやすい形で提示されておらず,その実態はわかりにくい状況であった.本研究では全被保護者を対象とする「被保護者調査」からの世帯データを利用して幾つかの基礎統計量を示し,全貌を分かりやすい形で提示した.またプロビット分析を用いて,どのような特性をもつ被保護者が就業しやすいかも示した.さらに被保護者は就労すると給付が減ってしまうので,その仕組みがどれだけ就労に影響を与えるかを,就労の価格弾力性および所得弾力性を推定することで,検討を加えた.これらの推定結果は,生活保護基準と基礎控除を中心とする生活保護の仕組みを考える際に役立つと考えられる.
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