近年、日本の税制・社会保障制度における再分配効果の研究では、家計マイクロ・データを用いた取り組みも増えつつあり、また再分配効果の要因分解を行う研究も進んでいる。ただし、調査票に記載された負担・給付の金額を使用する場合、再分配効果の時点間比較では制度変更要因と非制度変更要因を分解することはできず、双方を一体として評価せざるを得なかった。こうした中、本研究はマイクロ・シミュレーションの手法を活用し、税・社会保険料額の推計値を構築することを通じて、制度変更要因と非制度変更要因の要因分解を可能とする取り組みである。
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