本研究は、日本家計の家事労働の実態について、テーマをいくつかに絞り経済学の視点で議論した。統計データを用いた分析の主な発見として、(1)2000年代に国が企業に導入を促してきた介護休暇や育児休暇制度が、妻の市場労働供給を増加させたこと、ただし夫が家事労働時間を増加させることは確認されず、夫婦間の労働時間の不均衡の解消にはつながっていないこと、(2)家計は時間と資金を投入することで良好な子供の健康状態を作り出しており、この過程を支援する政策が貢献していることがわかった。なお、妻による家事時間の投入が戦前から続いているかどうかについては、今後分析を発展させられる可能性が示された。
|