研究課題/領域番号 |
18K01653
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
小林 美樹 佐賀大学, 経済学部, 准教授 (70722388)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 所得格差 / 貧困 / 非正規雇用 |
研究実績の概要 |
2018年度に実施した研究は、「所得格差と貧困の現状と課題」(現在執筆中)というものである。この研究は、研究課題の概要を知るために重要であると考えて実施した。 研究内容は、はじめに、OECD諸国の中での日本の所得格差をジニ係数で比較した。さらに、貧困の状況もOECD諸国の中で比較した。その結果、日本はOECD平均よりも所得格差が大きく、貧困率も平均より高いことがわかった。次に、個人レベルでの状況を確認するため、個票データを用いて分析を行った。LOSEF(くらしと仕事に関する調査)のデータを用いた。LOSEFデータはインターネット調査会社のモニターとして登録されている30歳代、40歳代、50歳代の男女、合計6000人を調査対象とした社会調査である。この調査の質問項目には学校を卒業してから現在に至るまでの就業状況、現在における所得や婚姻状態、家族構成、幸福感や満足感、主観的健康などの主観的厚生、その他さまざまなものが含まれている。このデータを利用し、個人の所得状況を男女別、学歴別、就業状況別でどのように異なるかを検討した。分析の結果、所得状況は男性より女性で低いこと、学歴別(中卒、高卒、短大・高専卒、大卒)では学歴が低いほど所得状況が低いことがわかった。さらに、仕事の就業状況を見ても、正規雇用者と非正規雇用者では、非正規雇用者で、所得が低いことがわかった。近年、日本では生活保護受給者が増えているが、このような弱い立場の人々の所得が低いことが、個票データから明らかになったことは重要である。 さらに、2018年度には「妊娠知識が出産に対する主観的期待に与える影響」臼井恵美子・小林美樹、『経済研究』69(3)、227-241、2018年7月、という研究も公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
病気のため、2018年9月より休職しており、研究が中断しています(2019年9月30日まで休職)。そのため、研究の進捗状況がやや遅れております
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今後の研究の推進方策 |
最近では健康を取り戻しつつあるので、復職後は研究にまい進する予定である。まずは、現在、執筆中の論文を書き上げることが第一である。個票データの分析を精緻に実施し、どのような人々が所得格差や貧困状態にあるのかを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
病気のために、現在休職(2018年9月から2019年9月30日まで)しており、次年度使用額が生じた。復職後は、研究に必要な機材、書籍などをそろえなければならないので、研究を遂行するために必要な使用計画を行う。
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