既婚女性の就業は夫婦所得の格差に影響を与えると考えられるが、これについては一定の結論がでていなかった。一方、少子高齢化を背景に政府はワーク・ライフ・バランス施策の充実を図ることで既婚女性の就業を進めてきた。妻の就業が所得格差を拡大する可能性がある場合、ワーク・ライフ・バランス施策は世帯所得の格差を拡大させる可能性がある。加えて、既婚女性の就業に対して性別役割分業意識といった社会規範が影響を与えているといわれており、これも夫婦の所得格差に影響を与えると予想される。本研究では妻の就業及び社会規範と夫婦所得の関係を明らかにし、今後のワーク・ライフ・バランス施策のあり方を検討した。
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