研究課題/領域番号 |
18K01655
|
研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
小川 亮 大阪市立大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (40707999)
|
研究分担者 |
木村 真 兵庫県立大学, シミュレーション学研究科, 教授 (50419959)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 財政健全化法 / 回帰不連続デザイン / ティブーの足による投票 / アナウンスメント効果 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、平成19年度に公布され平成21年度に全面施行された「地方財政健全化法」による財政健全化団体の指定が、住民移動にどのような影響をもたらしたかについて、2つの研究アプローチから構成されている。一つ目は、指定を受けた団体群と、これらと同レベルの財政状況の悪さにあるがぎりぎり指定を免れた団体群との間で、社会増減率、転出率、転入率、年齢階級別の人口増減率の期待値に差があるかを、財政状況をコントロールしながら(指定を決めるひとつの財政指標である実質公債費比率を説明変数に加えながら)比較するという回帰不連続デザインというアプローチである。二つ目は、国勢調査の個票を用いた、指定団体に住んでいた個人群とそうでない団体に住んでいた個人群との間で住民移動(主に転出状況)を比較する差分差の分析である。本年度は、一つ目を終えて、二つ目を着手する予定であったが、コロナウィルス感染症対策のために一つ目の途中段階で終わってしまった。進めることができた部分は、以下の二つになる。(1)主要結果の頑健性の確認のため、共変量の事前分布の確認を行った。これにより、ランダムに近い疑似実験状況であることを示すことができると考えられる。(2)財政健全化団体の指定が歳出行動にどのような影響をもたらしかをみるために、市町村の決算統計を収集、整備し、回帰不連続デザインを施した。これにより、住民移動の効果が先の財政リストラを見据えたアナウンスメント効果だけによるものか、もしくは、実際の財政リストラがすでに着手されたことによる実効果が含まれたものなのかを明らかにすることができると考えられる。これらの推計結果を解釈する段階で本年度が終わった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
感染症対策に大学業務等で労力を払うことになり、なかなか本研究課題を進めることができなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
感染症対策にある程度慣れたため、研究のペースを戻すことができると見込まれている。回帰不連続デザインに関するメインの結果は出来上がっているので、頑健性のチェックや、ディスカッションの部分を仕上げて、投稿にこぎつけたいと考えている。また、二つ目の差分の差分析のほうもできる限り進めたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度の使用額が生じた理由としては、当初計画の最終年度である令和2年度においてコロナウィルス感染症への対策により予定通りの支出がかなわず、一年の延長を申請し認められたため。使用計画としては、英文雑誌への投稿のための英文校正費や旅費、文房具や書籍等に利用する予定である。
|