研究課題/領域番号 |
18K01658
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研究機関 | 愛知大学 |
研究代表者 |
新居 理有 愛知大学, 経済学部, 准教授 (70590462)
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研究分担者 |
岡澤 亮介 大阪市立大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (30707998)
瀧井 克也 大阪大学, 国際公共政策研究科, 教授 (70346138) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 公債 / 財政政策 / 政治経済 / 資本所得 |
研究実績の概要 |
本年度は実施項目1「財政破綻が異なる世代の経済主体に与える影響を分析するモデルの構築」を継続すると共に,実施項目2「財政破綻を誘導する政策が投票行動を通じて政治的に支持される条件の解明」について,モデルの構築や分析を進めた.項目1については,インフレーションと主体の資産保有に構造に注目しつつ,モデルの構造を改善する作業を進めている.また実施項目2についても,基礎的なモデルを元に,デフォルト(債務不履行)を均衡として適切に表現できるよう,モデルの修正およびさらなる拡張の作業を進めている. また,実施項目1や2の進行に伴い,いくつかの関連プロジェクトを並行して展開している.1つめは,資本所得の不平等と政府債務残高の動学に関する分析である.これは,上記実施項目の分析を進める中で,経済主体がどのような資産を持っているかと,政府債務に関する政策が与える影響との関連が,政策分析をする上で重要であるという論点から,派生して生まれた研究プロジェクトである.個々人の資産所得の不平等や再分配により所得格差を縮める政策が,政府債務の動きや財政の維持可能性に与える影響を,理論モデルを構築し分析している.また,2つめのプロジェクトとして,パフォーマンスの順序が,そのパフォーマンスの評価に与える影響に関する実証分析を,共同研究者と共に進めている.このために,あるコンテストに関するデータを収集し,基礎的な実証分析を実施した.今後,先行研究を調査しつつ,さらに必要な分析を追加していく.このプロジェクトの結果は,政策が政治過程において評価され実施の可否が検討される上で,政策の議論の順序が政策評価にバイアスを与える可能性を示唆している.財政破綻を誘導する政策決定に影響を与える新たなチャンネルとなる可能性がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた実施項目1,実施項目2については,先行研究の調査を並行しつつ,モデル分析を継続して進めており,少しずつ進展をしている.また,予定していた実施項目から派生したいくつかのプロジェクトについてあわせて進行をしている.したがって,プロジェクト全体としては概ね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
実施項目1と2について,モデル分析に一定の目処をつけ論文への取りまとめを進める.また,派生したプロジェクトについても,あわせて結果の取りまとめを進め,論文もしくは学会・研究会での報告という形で公開をできるように研究を遂行する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
派生したプロジェクトの発生に伴い,旅費やその他支出(英文校正費など)の支出額が小さくなったため,次年度使用額が生じる状況となった.これらの費用は,現在のプロジェクトの進展に伴い,計上した項目に対応する支出が必要となる.したがって,次年度において,旅費やその他支出(英文校正費,ソフトウェア購入費など)に関する予算を使用する予定である.
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