令和3年度は,研究計画で示した三つの研究課題を進めた。 「自然・社会環境の変化と人的資本蓄積」については,「屋外活動規制と未成年者の健康推移」を,2021年度日本経済学会春季大会および2021 World Congress of the International Health Economics Associationでの報告をもとに改訂している。「就労自立給付金制度と被保護者の就業インセンティブ」については,昨年度に2021年度日本財政学会で報告した第一稿の改訂作業を続けている。「特定健康診査導入が健康と医療利用に与える影響」については,データの申請が滞ったため,データの構造を確認するにとどまった。
期間全体を通して計8件の研究に取り組み,14回の研究報告および4本の学術論文として対外的に発表した。一つの分析を進めていくうちに,当該データを使った別の研究案が次々と思い浮かび,引き続き他の研究プロジェクトの下で継続指定研究していく下地を作ることができた。それらは当研究プロジェクトの目的に沿ったものであるが,その代償として,研究実施計画に挙げたテーマ全てに取り組むことができず,成果の数としては不十分な水準にとどまってしまった。 今回,残念ながら未完了となってしまった研究については,後継の研究プロジェクトに移管させて引き続き研究を進めていく予定である。
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