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2018 年度 実施状況報告書

医療介護保険財政の包括的将来推計

研究課題

研究課題/領域番号 18K01667
研究機関京都産業大学

研究代表者

福井 唯嗣  京都産業大学, 経済学部, 教授 (10351264)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード将来推計 / 医療保険 / 介護保険 / 地域差 / 制度間格差
研究実績の概要

本研究が主目的とする3つの課題のうち,本年度はこれらの課題全ての土台となる,以下の2つの基礎的な将来仮定値の設定のため,過去の実績データに基づく推計を行った。
第一は,諸制度についての加入者割合の将来仮定値の設定である。複数の医療保険制度および介護保険制度の加入者割合,さらにその背後にある生活保護制度の対象者割合は,短期的な経済状況および長期的な経済構造の変化の影響を受ける。これらについて,将来推計においては定常的な仮定値を設定する必要があるため,過去の実績データを疑似パネルデータとして取り扱った分析を行うことで,一時的な変動部分を排除するとともに,遠い将来には定常状態に至るという前提の下,将来の構造的な仮定値を,地域別×年齢階級別に推計した。
第二は,将来における医療費および介護費用の1人当たり単価の地域別の伸びについての設定である。都道府県別医療費に関しては,第3次医療費適正化計画について,外来医療費と入院医療費についての地域差を縮小する目標値が立てられており,目標値の設定については今後も更新される予定となっている。現行の目標値の設定の仕組みについて利用可能な情報をできる限り利用することで,将来の1人当たり医療費単価の伸びについて都道府県単位での仮定値を推計した。介護費用に関しては,現在単価の地域差についての現状把握が当局によって進められているところであり,最新の状況について情報の確認を行った。
なお,上記以外にも,医療介護保険財政の包括的将来推計の精緻化のために必要となる細かい将来仮定値設定に向けたその他の推計のための準備も進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では,研究課題として,(1)制度間・保険者間での既存の財政調整制度およびその改革が各制度・各保険者の保険財政にもたらす影響についての解明,(2)現在観察される医療・介護サービス単価の地域差についての今後の動向とそれらの相関性が医療・介護保険財政にもたらす変化の定量的把握,(3)医療・介護保険費用負担を将来にわたって平準化するような制度改革が各制度・保険者にもたらす影響の考察,の3つを設定している。
これらの研究課題は相互に関係し合っている部分があるため,可能なものから随時,同時並行的に研究を遂行している。そのため,各研究課題の進捗状況について濃淡はあるものの,全体としては当初予定していたペースで研究が進められている。
これらの研究課題はいずれも将来推計に関わるものであり,現在進行中の医療・介護保険制度改革の今後の行方によって,予期できない推計方法等の変更を迫られる可能性がある。そのような場合には,可能な限り最新の状況を踏まえた将来推計となるような改良を加える予定である。

今後の研究の推進方策

次年度は,今年度に設定したメインの将来仮定値以外で,長期推計に必要となる様々な将来仮定値設定のための推計を終え,3年間の研究計画全体の目標である包括的将来推計のためのシミュレーションモデルの構築を進めるとともに,学術的な研究成果の公表に向けた準備に取りかかる。なお,その前段階として,長期推計のベースとなっている諸仮定値の推計方法および長期推計本体のモデル構造について,学術誌あるいはディスカッションペーパー等,何らかの形での公表を図る。
現時点では研究計画の変更の予定はなく,また,研究を遂行する上での課題等も存在しない。

次年度使用額が生じた理由

当初の想定よりも物品調達費用が少なくて済んだため,より効率的な研究遂行をもたらすパソコン周辺機器のさらなる充実のための物品調達に使用する予定である。

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公開日: 2019-12-27  

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