十分な積立金を持たない現行の医療・介護保険制度を維持していくためには,今後の高齢化の進展に伴う保険料・税負担の増大に備えておくためのさらなる制度改革が求められる。改革の方向性の一つは,医療・介護サービス提供体制の見直しであり,もう一つは,医療・介護保険財政を支えるために増大する負担の偏りを可能な限り回避し,幅広い国民の理解が得られるような形で費用負担を求めることである。本研究は後者を研究対象として取り上げ,現行制度の下で将来必要となる保険料・税負担の将来推計値を地域・保険者単位で示すことで,今後の制度改革における議論を進める上での論点を明らかにすることを社会的意義としている。
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