研究課題/領域番号 |
18K01669
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
山内 康弘 近畿大学, 経済学部, 教授 (20533996)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 介護 |
研究実績の概要 |
2000年に施行した公的介護保険制度は、基礎自治体である市町村を保険者とし、介護保険料の設定や要介護認定の実施など市町村に多くの裁量が与えられ、施行当初から「地方分権の試金石」として注目されているところであるが、近年の法改正による更なる地方分権化によって、その取り組み(施策導入)のスピードや施策内容は、市町村によって、相当の格差(ばらつき)が生じているとされている。 本研究は、近年の介護保険制度改革による市町村(保険者)への地方分権過程を貴重な「自然実験」と捉え、その過程を経て生じる可能性がある、施策導入のタイムラグやその波及の様子、そして、施策内容の相違などを「時間事象データ(サバイバルデータ)」として収集し、その要因を把握すべく、イベント・ヒストリー分析(生存時間分析)を行う。さらに、包絡分析法(DEA)を用いて地方分権による施策への影響について政策評価を行うこととしている。 研究期間の3年目である2020年度は、新型コロナの影響によって当初予定していた現地調査や研究発表などが実施できなかったものの、前年度に引き続き、いわゆる「政策イノベーション」と呼ばれる新規事業への取組みに関する膨大な先行研究の整理を進めるとともに、その空間的な波及の過程における様々な仮説群の整理にあたった。また、より複雑な構造のモデルを採用するため、ベイズ的手法を用いた計量モデルの検討を進めた。さらに、自立支援型介護への地方自治体の取り組みに関しても研究対象を拡げ、仮説群の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナの影響によって当初予定していた現地調査や海外等での研究発表などが実施できなかった。その代替として、膨大な先行研究の整理を進めるとともに、その空間的な波及の過程における様々な仮説群の整理にあたった。また、より複雑な構造のモデルを採用するため、ベイズ的手法を用いた計量モデルの検討を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き新型コロナの影響が残ると予想されるため、限られた研究環境の中で、できる限りの取り組みを行ってまいりたい。2020年度から開始した「ベイズ的手法を用いた計量モデル」の取り組みについては、いわゆる「マルコフ連鎖モンテカルロ法」の採用によって、時系列的にも、空間的にも計量モデルの拡張を図ることが出来、引き続き取り組んでまいりたい。また、2020年度から開始した「自立支援型介護」における地方自治体の取り組みについても研究対象を拡げ、より効果的な研究の推進を図ってまいりたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナの影響によって、現地調査及び海外等での研究成果の発表が叶わなかったため、「次年度使用額」が生じることとなった。新型コロナの影響は2021年度についても引き続き続くと思われるが、可能な限り研究計画に沿った効果的な研究に遂行に努めて参りたい。
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