経常収支の変動は、政策決定者や研究者にとっての重要な関心事である。ほとんどの国で経常収支の不均衡は長期にわたって持続し、是正されにくい。これまでの理論研究は、このような経常収支変動を理解するために様々な経済モデルを構築してきたが、それらのほとんどは、合理的期待理論のもとでの検討であった。本研究は経常収支の変動について、経済主体が保有する情報の役割に焦点を当てる。粘着情報のモデルを用い、経済主体の期待調整の遅れが経常収支の不均衡の持続や拡大にどう寄与しているかどうか、を分析している。このほか、情報の開放経済モデルにおける重要性を明らかにするため、複数の不完全情報の経済モデルを検討している。
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