研究課題/領域番号 |
18K01689
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
山本 周吾 山口大学, 大学院東アジア研究科, 准教授 (70593599)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ネットワーク効果 / グローバル資本移動 |
研究実績の概要 |
本研究の主要な目的は、国際金融を不安定にするグローバル資本移動のメカニズムを解明することである。これまでの先行研究では資金供給国である先進国の金融環境を表すGlobal(Push)要因が主要な要因である、とされてきた。しかし、本研究では、それ以外にも先進国間の複雑な国際金融の構造を考慮したネットワークによる増幅効果も重要ではないか、という仮説を提唱した。ネットワーク効果の存在を理論的に示した研究は存在しているが、実証分析によって証明するまでには至っていない。このネットワーク構造という新しい視点でグローバル資本移動のメカニズムを実証分析する点に本研究の学術的独自性と創造性がある。 今回、それを空間計量経済学の手法を用いることによって、実証することができた。そして、それをまとめたものがこの度、海外の査読付きの学術雑誌に採択された。この雑誌はInternational Review of Economics & Financeで、インパクトファクターが1.8であり、SJRによると上位の第1四分位の範囲に含まれるQ1にランクされている(2021年5月)。よって、この学術雑誌は国際金融の分野では一定の質を保っていると言え、大きな研究実績と言えよう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先述したように、研究成果が海外の査読付き学術雑誌に掲載されたために、(2)の「おおむね順調に進展している」と進捗状況を評価した。しかし、(1)の「当初の計画以上に進展している」と評価することができなかった。その理由は、先述したように、一定の質の海外の査読付き学術雑誌に採択・掲載されたと言え、1本のみであり、本数が不足しているからである。 なお、経済学の分野では投稿してから編集者や査読者達の審査プロセスを経て、実際に採択及び掲載されるまでに長い年月を要する。よって、海外の査読付き学術雑誌には採択されたが、ややその回数は遅いと言える。論文の執筆、研究会での報告、投稿、審査のサイクルとスピードをより早くすることが今後の重要な課題である。
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今後の研究の推進方策 |
先述したように、論文の執筆、研究会での報告、投稿、審査のサイクルとスピードをより早くすることが今後の重要な課題である。同時に、新型コロナ危機のために旅費を使用しなくなったので、その分をデータベースの購入費用に回すなど、機動的に予算を再編成する必要がある。よって、追加的なデータベースの導入によって、早急に現在の研究テーマをより発展できるような方法を模索しなければならない。また、研究会・学会がほぼオンライン開催に切り替わっているので、ある意味、世界中の様々な学会に参加するチャンスでもある。よって、この機会をチャンスと捉えて、研究のネットワークを国際的に拡大する機会にしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ危機のために海外の学会及び研究会に参加することができなかった。そのために旅費を計上することができなかった。2021年度も引き続き新型コロナ危機のために海外の学会及び研究会に出席できないことが想定される。よって、旅費の予算をデータベースの購入に回して、より研究を深める方向に使用計画を修正する。
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