研究課題
基盤研究(C)
資産のリターンが予測可能であることはファイナンス理論における標準的な見方であるが,統計的にこれを検出することは容易でない.より有意な実証的証拠を得ようとデータやモデルのマイニングを行うと,実際には無意味であるにもかかわらず有意に見えてしまうというオーバーフィッティングを引き起こす.本研究は,大規模データを用いた実証分析により,時系列とクロスセクションの双方のリターンの予測可能性に関して,機械学習を利用することの有効性と危険性を明らかにした.
ファイナンス
ファクター・プレミアムに関する研究はファイナンス研究における中心的テーマであり続けているとともに,直接応用可能なことから実務においても注目されてきた.本研究の新規性は,近年発展が著しい機械学習の技術がどのように有効なのかを批判的思考のもとで探求した点である.本研究の結果は,ファイナンス研究が人々の意思決定の改善に役立つことを通じて社会に貢献していくためには,データサイエンスの技術を活用することが有効であるとともに,データマイニングの危険性を考慮して活用するのが重要であることを示している.