研究課題/領域番号 |
18K01695
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研究機関 | 獨協大学 |
研究代表者 |
熊本 尚雄 獨協大学, 経済学部, 教授 (30375349)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 負債のドル化 / 通貨代替 |
研究実績の概要 |
貿易の自由化、金融のグローバル化が進展している新興市場国において発生した種々の通貨危機、金融危機により、当該国通貨が急激に減価したことからも明らかなように、安定的なマクロ経済運営においては、金融アーキテクチャーが極めて重要な役割を果たすことになる。 しかしながら、新興市場国は先進国に比べ、より大きな経済変動に晒されている。これには様々な要因が存在するが、その一つにドル化が挙げられる。なかでも債務のドル化、ならびに通貨代替の程度が経済変動(後退)に大きく影響することが知られている。 本年度はBernanke et al.(1999)にならったfinancial accelerator,およびGertler et al.(2003)等にならった負債のドル化を導入した通貨代替型DSGEモデル(Kumamoto & Kumamoto(2015))の精緻化を行い、負債のドル化、および通貨代替の程度が経済変動に及ぼす影響に関する理論的分析を行った。 具体的には、異なる負債のドル化、ならびに異なる通貨代替の程度を組み合わせたシナリオの下でカリブレーション、インパルス応答関数、無条件分散分析による定量的分析を行い、自国、外国の金融政策ショックが自国経済に及ぼす影響について分析を行った。 その結果、負債のドル化は実質為替相場の変動によりfinancial acceleratorやdebt-deflationメカニズムを通じ、経済変動に有意な影響を及ぼすこと、また通貨代替の程度は負債のドル化以上により大きな経済変動をもたらすことが明らかとなった。この結果は、新興市場国における中央銀行は金融政策を行う際に、負債のドル化の観点だけではなく、通貨代替の程度も考慮することが重要であることを示唆するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目標として掲げていた分析を行い、一定の成果を得ることができたが、定量的分析を行う際のシナリオをより細分化し、分析を精緻化することについては早急に対応したい。
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今後の研究の推進方策 |
分析に用いる基本モデルのさらなる修正、ならびに分析結果の解釈についての精緻化を行い、雑誌への投稿を随時行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
<次年度使用額が生じた理由>注文をしていた複数の書籍の刊行日が延期となったこと、予定していた英語による論文校正を実施することができなかったため。
<使用計画>上記の注文していた書籍の購入、英語による論文校正を実施する。
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