| 研究課題/領域番号 |
18K01708
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| 研究機関 | 武蔵野大学 |
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研究代表者 |
田中 茉莉子 武蔵野大学, 経済学部, 准教授 (20709026)
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| 研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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| キーワード | サーチ・マッチング理論 / 国際通貨の選択 / 第三世代モデル / 経済地理 |
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| 研究実績の概要 |
今回の「研究の目的」は、「交付申請書（様式Ｄ－２－１）」に記載の通り、アジア圏内の国際貿易で米ドル決済が支配的である一方、ヨーロッパ域内でユーロ決済が支配的であるという現象に着目し、国際貿易の決済通貨としての「第三通貨」の選択に地域間で差異が見られる理由を明らかにすることである。そのために、「交付申請書（様式Ｄ－２－１）」における「研究実施計画」では、まず、平成30年度から令和元年度にかけて、「サーチ・マッチング理論」を国際金融の分野に応用して第三通貨を組み込むことで、ミクロの経済主体の最適化行動に基づいた理論モデルを構築すると共に、令和元年度から令和2年度にかけては、現実のデータを用いたカリブレーションを実施することで、理論予測が現実をどの程度反映しているかを検証することを計画した。
令和元年度の取組みの具体的内容として、平成30年度の段階で構築した理論モデルの設定をより現実的なものとするため、Lagos and Wright（2005）によって開発された、第三世代と呼ばれる「サーチ・マッチング理論」を新たに採用することにした。そこで、福田慎一教授（東京大学）との共著により、この第三世代の「サーチ・マッチング理論」を用いた国際通貨の選択に関するモデルの構築を行った。この研究の意義は、経済地理をサーチ・マッチング理論に組み込むことにより、ミクロ経済主体による国際通貨の選択の結果、米ドルが国際取引において支配的な役割を果たすようになるメカニズムを明らかにしたことにある。アジアやヨーロッパでの国際通貨の選択に関する分析にも応用できる重要な成果であると考えらえる。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は、「交付申請書（様式Ｄ－２－１）」の「研究実施計画」に沿って、分析の基本的な理論的枠組みを構築した。具体的には、アジア圏内の国際貿易で米ドル決済が支配的である一方、ヨーロッパ域内でユーロ決済が支配的であるという現象に着目し、国際貿易の決済通貨としての「第三通貨」の選択に地域間で差異が見られる理由を明らかにするために、「サーチ・マッチング理論」を国際金融の分野に応用して「第三通貨」を組み込むことで、ミクロの経済主体の最適化行動に基づいた理論モデルを作成した。
令和元年度は、構築した理論モデルの設定をより現実的なものとするため、Lagos and Wright（2005）によって開発された、第三世代と呼ばれる「サーチ・マッチング理論」を新たに採用することにした。そこで、福田慎一教授（東京大学）との共著により、この第三世代の「サーチ・マッチング理論」を用いた国際通貨の選択に関するモデルの構築を行った。この研究により、経済地理に基づくミクロ経済主体による国際通貨の選択の結果、米ドルが国際取引において支配的な役割を果たすようになることを明らかにした。なお、この研究成果は、令和元年度末にイタリアで開催の国際学会で報告予定であったが、コロナウイルスの世界的な感染拡大により、令和2年度の10月に延期予定となっている。
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| 今後の研究の推進方策 |
令和2年度は、平成30年度に構築した、2国3通貨からなる「第三通貨」が組み込まれたサーチモデルをより現実を反映したモデルへと改訂する。具体的には、Lagos and Wright（2005）によって開発された第三世代の「サーチ・マッチング理論」を応用することで、2国3通貨からなるサーチモデルを再構築する。その上で、データを用いたカリブレーションを行うことにより、モデルがどの程度現実の国際通貨の選択を反映しているかを検証し、円や元の国際化、ドル、ユーロ、アジア共通通貨の今後など、現実の政策課題について考察することを計画している。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの世界的感染拡大により、令和元年度末にイタリアで開催予定の国際学会での研究報告が令和2年度秋に延期となったため、次年度使用額が発生した。令和2年度の学会報告で使用することを計画している。
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