2013年以降、黒田東彦日銀総裁が国債を現物市場から大量に購入する金融政策を実行した結果、日銀が国債の発行残高の40%超を保有する状況となった。本研究では、その副作用として国債市場の価格形成や流動性に甚大な影響を与えたことを明らかにした。すなわち、国債の「希少性」が高まり、市場で取引仲介をするディーラー(金融業者)のリスクが上昇し、取引成立に要する時間や追加費用が増加する変化が見られた。日銀は、流動性を補完するため保有する国債を一時的に貸し出す「国債補完供給(SLF)」を実施。「国債補完供給」の貸出レートの設定次第で、レポ市場の機能を制限したり、取引を奪う可能性があることを明らかにした。
|