研究課題/領域番号 |
18K01713
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研究機関 | 愛知工業大学 |
研究代表者 |
中川 覃夫 愛知工業大学, 経営学部, 教授 (60076544)
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研究分担者 |
水谷 聡志 愛知工業大学, 経営学部, 准教授 (40469060)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | リスク測定 / 最適方策 / 信頼性 / 保全性 / 費用最小化 / 累積損傷過程 |
研究実績の概要 |
保全計画に関する多くのモデルを提案した.とくに累積損傷過程を応用し,システムの信頼性問題に関するモデルをいくつか提案し,その最適方策について解析的,または数値例を挙げて議論した.応用としたは,データベースシステムの運用や,金融システムの最適運用,産業設備の効率的運用などが考えられる. また,国内または海外の会議に参加し,研究成果を発表をした.とくに科研費を利用して参加した会議と研究発表題名を記す. 2019年5月24日に開催された電子情報通信学会の信頼性研究会,5月25日に開催されたNCRR(名古屋計算機信頼性研究会)では,南京工業大学の銭存華教授,南京航天航空大学の趙旭峰教授を中国から招いて招待講演を行った. 2019年8月1日から3日にかけてアメリカのラスベガスにおいて開催された ISSAT (International Conference on Data Science and Intelligent Systems) 2019に参加し,"Optimum Backup Policies with Duplicated Data", "Independent Damage Models with Failure Level Declined by Heavy Damage"という題で発表を行った. また,2019年9月11日から13日にかけて広島の西条にて開催された日本オペレーションズ・リサーチ学会の「2019年秋季研究発表会」に参加し,"データベース更新形態が特殊な場合のバックアップ最適方策","2種類の損傷をもつ独立損傷モデルの取替方策"という題で発表を行った. 多くの質疑を受け,活発に議論を行った.また,他の研究者による最新の研究成果を聴講し,非常に有意義であった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
経済やデータベース運用に関する確率モデルを複数提案し,発表を行うことができた.これらのモデルを解析することによって,システムを費用の面で最適に運営するための指針を得ることができた.確率モデルは,確率過程論におけるマルコフ再生過程,累積損傷過程を応用し,多くの経営,経済,データベースなどのシステムに応用可能である.以下,主な提案モデルについて説明する. まず,データベースの更新時期について考慮した確率モデルについて説明する.データベースは,故障などの災害にそなえれるため,定期的にデータをバックアップする必要がある.しかし,バックアップには,費用や時間がかかるため,頻繁に行うことはできない.このため,最適なバックアップ実施時期を調べるため,確率モデルを構築し,解析することで議論した. また,別のモデルでは,2つの故障モードをもつユニットの取替方策を提案した.2つの故障モードとは,(1) ユニット故障:故障が発生したとき,ユニットは直ちに取替を実施する,(2) 小故障:故障が発生したとき,小修理を実施する,の2つである.時刻T,またはK回目の小修理が発生したときの事象うち,最初に発生した事象で取替を実施する最早取替方策と,最も遅く発生した事象で取替を実施する最遅取替方策を考える.ユニット故障が発生したときは,直ちに取替を実施する.これらのモデルに対して,期待費用を導出し,期待費用を最小にする最適なTとKについて議論した.
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今後の研究の推進方策 |
今年の9月に中国の南通 (Nantong) で開催される予定であった The Reliability and Maintenance Engineering Summit 2020 (RMES 2020) に参加する.しかし,開催に関しては延期が決まったが,延期後の開催時期については,まだ未定である.この研究発表会にて,信頼性の故障分布に関する数値計算,データベースのバックアップ方策の応用,2種類の故障がある場合の最適方策の応用などについて発表する予定である.その他,電子情報通信学会における信頼性研究会に参加する.しかし,正式な開催時期,場所については,変更の可能性がある.本年度は,コロナウイルスのため,多くの研究会が中止または延期となっている.そのため,現在の状況が今年度後半も継続するならば,本年度内に研究費を使いきることは難しい.来年度期間の延長を申請する可能性がある.
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