研究実績の概要 |
本研究では,理論モデルの構築とシミュレーションシステムによる検証を主目的として,ファイナンス情報システムの一部分の機能として累積インパルス面からの研究を遂行する.本システムは金融機関などでの応用を目的としていたが,コロナなどの影響もあって,それらの適用は計画が遅れ,目的が果たせなかったが,理論分野では応用の基となる有益な研究成果が数多く得られている. 頻度は高いが小さいインパルスをノイズまたはダメージとしてとらえ,その変動の総累積量があるしきい値を越えたとき,企業の投資や資金調達の投資行動をチェック・検討し,リスク増大を回避するメカニズムを解明する.これは累積損傷モデルとして知られており,専門書 (X.Zhao and T.Nakagawa, Advanced Policies for Shock and Damage Models, Springer)などで解説されている. 研究成果として国内外の学会で発表を行った.国内では,日本オペレーションズ・リサーチ学会や電子情報通信学会信頼性研究会に参加した.海外では,アメリカで毎年開催される ISSAT や RMES 2021 などに参加した.また,国際的に評価の高い論文誌である Seliability Engineering & System Safety や International Journal of Reliability, Quality and Safety Engineering などに投稿し掲載された.また,論文が編集され,Springer 社から Book Chapter として掲載された. これらの研究成果は,バックアップシステムの最適運用,インフラ整備や保全政策,金融や経営などのリスク評価のシミュレーションの基礎となる確率モデルの構築,コロナ禍などの諸問題にリスク管理として応用される可能性をもっている.
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