2021年度は、前年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行の影響により、当初計画していた国内および国外の図書館・アーカイヴ等における実地調査をおこなうことができなかった。そのため本年度は、主として国内における調査結果のとりまとめとその分析作業に従事した。具体的には、前年度に引き続いて、(1)蒙疆政権期(1930~1940年代)における文書史料の整理、(2)内モンゴル西部を中心とする資料集や地方志の収集と、その整理および分析をおこなった。とりわけ(2)に関しては、内モンゴルの行政単位である「旗」レベルの地方志のなかに、王公制度の変遷にかかわる貴重な情報が含まれており、たいへん有益であった。これら(1)および(2)に関わる調査・分析から、内モンゴル西部の開墾と同地域における「県」の設置過程、そして20世紀から現代に至る「盟旗」制度の変遷について把握するための基礎的作業をすすめることができた。 以上の作業を踏まえ、本年度は、内モンゴル西部地域における盟旗制度の近代化と地域社会の動向について、具体的事例に則して分析を行ったが、今後これらの成果を学術論文として広く公表する計画である。 上記の研究実績に加えて、モンゴル地域史研究に関わるものとして、1930~40年代、内モンゴル東部地域における日本の宗教政策と地域社会について論文として公表したほか、モンゴル史に関する論集の編纂に編著者として参加した。
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