近現代台湾の中小零細工業－戦前と戦後の接続を中心に－

2020 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 18K01725
• 研究機関: 三重大学
• 研究代表者: 堀内 義隆 三重大学, 人文学部, 准教授 (90550492)
• 研究期間 (年度): 2018-04-01 – 2022-03-31
• キーワード: 工業化 / 台湾 / 中小零細工業 / 繊維産業

研究実績の概要

本研究は「研究の目的」として、日本統治期から中華民国期への転換期における台湾の中小零細工業を対象として、それらの中小零細工業が戦前から戦後にかけて如何なる継続性を有していたのかということと、戦後初期台湾の工業化の中心となった繊維産業の歴史的前提として、日本統治期の台湾における繊維市場の形成の実態が如何なるものであったかということを解明することを掲げた。
これらの目的を遂行するために、「研究実施計画」として5つの具体的な課題を掲げた。すなわち、(1)日本統治期に存在した中小零細工業の中華民国期への統計的接続、(2)人的資源面における戦前・戦後の接続の分析、(3)日本統治期における繊維市場の実態把握、(4)終戦直後の中小零細織物業者の実態把握、(5)日本統治期と中華民国期の繊維市場・産業の関連性の解明、の5点である。
2020年度は、研究計画の最終年度であったが、新型コロナ感染症の影響で計画の大幅な変更を余儀なくされた。台湾現地での資料調査・収集を全く行うことができなかったため、前年度までの調査で収集した資料（上記(3)および(4)の課題）の分析が研究の中心となった。また、上記(1)および(2)の課題については、執筆中の著書に反映させるための準備を行った。
2020年度に着手する予定であった上記(5)の課題には全く着手できなかったが、幸い研究期間の延長が認められたため、2021年度に着手する予定である。

現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウイルス感染症の影響で、計画していた台湾での資料調査が全く行えなかったことに加えて、大学のオンライン授業対応と、大学の校舎改修工事のための研究室移転作業のために予想外の時間を費やしたため、研究課題のためのエフォートを削らざるをえなかった。

今後の研究の推進方策

新型コロナ感染症の影響により、台湾での現地調査が可能かどうかが不確定の状況である。台湾への入国が可能となった場合には、当初の計画通り、資料調査を行う予定である。また、2021年度も入国が不可能という状態が継続した場合には、計画を変更し、インターネットなどを通じて可能な範囲で資料調査を行うと同時に、国内研究機関で資料調査を行うための費用として交付金を使用する計画を立てている。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナ感染症の影響により、当初計画していた台湾での資料調査が全く行えなかったため、計画を一年延長した。もし、2021年度も引き続き台湾への入国ができない状況が続くならば、研究計画を若干変更し、資料調査の対象を国内研究機関に切り替えて、交付金を使用する計画を立てている。